トランプ帝国主義(2)

1月6日の当欄『トランプ帝国主義(1)』で、トランプ大統領(以下:トランプ)のグリーンランドの野望について記した。トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べて、グリーンランドを購入する意向を明らかにした。

複数の国際アナリストは米国がグリーンランドに侵攻した場合、「デンマークは領土を防衛できないだろう」と指摘している。米国は同地にピトフィク宇宙基地を所有しており、すでに米兵が駐留していることから、容易にグリーンランドを占領できるとみている。

ただ今月9日、グリーンランド議会を構成する5つの政党の党首たちが、「我々は米国人になりたいとは思わない。同時に、デンマーク人になりたいとも思わない。ただグリーンランド人でいたいだけだ」と発言し、自分たちの未来は自分たちで決めるという意思を表している。これは考えてみれば当たり前のことで、自分たちが住んでいる土地を誰からも干渉されず、今後も同じ場所に住み続けたいと思うことはしごく自然なことである。

今週、マルコ・ルビオ国務長官がデンマーク政府の担当者と同問題について協議する予定で、この会談でトランプ政権が何を求めているかが明らかになるはずだが、答えは最初から「グリーンランドを買わせろ」ということなのだろうと思う。

真冬の花

今朝(1月8日)、東京丸の内にある三菱一号館美術館の中庭で撮りました。

「寒さには負けないぞ」

トランプ帝国主義(1)

昨年末から、トランプ大統領(以下トランプ)の「グリーンランドを購入したい」という思惑が表面化している。実はトランプがグリーンランドを手に入れたいという構想を表したのは第一期トランプ政権の最中で、長年の夢にようやく光があたり始めたといったところだ。もちろん、簡単に実現できるわけもなく、すべてがトランプの思い通りいくわけではない。

グリーンランドはデンマークの自治領だが、トランプは「戦略上、きわめて重要」と捉えており、なんとしても米国領にしたいとの大願を宿す。弾道ミサイル防衛システムの拠点としての要所であるばかりか、鉱物資源が豊富であることもその理由である。

トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べており、軍事拠点として何としても手に入れておきたい場所なのだ。ただ、すでに他国の自治領になっている土地である。「ここがほしいから譲ってください」と言って自分のモノにできるほど国際関係は単純ではない。それでは子どもの駄々と変わらない。

外交には強引さが必要になる時もあるが、デンマークだけでなく欧州のほとんどの国が米国によるグリーンランド併合に反対している状況で、強引に我欲を押しとおすことで米国が今後、どれほど嫌われることになるか。これでは19世紀後半から20世紀初頭にみられた帝国主義と何ら違いがない。人類は過去の過ちから学んで次につなげなくてはいけない。

「トランプ帝国主義」にはノーを突きつけろ!

トランプ:ベネズエラのマドゥロ大統領を拘束

こんなことがあってはいけない・・・。

米国の陸軍特殊部隊デルタフォースの兵士たちは日本時間3日、ベネズエラのマドゥロ大統領(以下敬称略)を拘束し、強制的にニューヨークに連行してきた。すでに各種メディアで広く報道されているが、トランプ大統領はベネズエラの攻撃を「成功裏に完遂した」と自画自賛してみせた。

マドゥロがこれまでどれだけの自国民を殺害してきたかは計り知れず、圧政に苦しんできた人たちが大勢いることは確かなことだが、少なくとも外国人であるトランプが指揮をとって一国の大統領を拘束し、国外に連れ出すという行為は国際法上、許されるべきではないだろう。

こうした行為を許している限り、法律というものの存在価値を否定し、社会そのものが成立しなくなる恐れがある。トランプの行為は「国際法のテロ」とさえ言える。もちろん、それだからといってマドゥロが刑罰から逃れられることがあってはいけないし、国際刑事裁判所が正式な手続きを踏んでマドゥロを裁かなくてはいけない。

私は過去40年以上国際政治を見てきているが、こうした際に痛感するのは、国際機関が持つ現実的な政治力の弱さである。すぐに問題を解決できない即時性の欠如もあるし、その脆弱性は関与する人たちの多くが究極的には「他人ごと」という意識を抱いているからなのではないか。

今また国際機関の真の存在意義が問われていると言って差し支えない。