米・イスラエル VS イラン(6)

米・イスラエルとイランの戦闘は当初、短期間で終わるかに思えたが、攻撃・報復の繰り返しが続き、すぐに収束するようにはみえない。トランプとイラン政府は政治的な突っ張り合いを続けており、このままいけば大規模な戦争へと発展する可能性もある。

その一因のひとつが、トランプが戦争終結のシナリオを描けていない点にある。戦争に入った(開始した)時点で、明確な撤退計画が策定できていないと、ズルズルと戦争は長引いてしまう。何の目的で戦いを始め、何を達成したら止めるということが念頭にないと終わりが見えない。

トランプはイランへの最後通牒として(日本時間22日午前8時45分頃)、48時間以内にホルムズ海峡封鎖の解除を求めたが、そうした流れにはなりそうもない。トランプはイランの発電所を「壊滅させる」と述べ、それに対するイランはトランプが脅迫を実行に移した場合、海峡を完全に閉鎖し、破壊された発電所が再建されるまで再開しないと反論している。

今回の対立は1970年代以来最悪のエネルギー危機に発展しつつあり、世界的な原油高、さらには経済危機につながりかねない。ここは首脳たちの叡智に期待したい。

トランプの心根

「奇襲については、日本より詳しく知っている人がいるというのか?なぜ私に真珠湾(攻撃)について事前に言ってくれなかったのか」

ホワイトハウスで高市早苗首相(以下高市)と会談したトランプ大統領は20日、米国のイラン攻撃が奇襲だった点に触れて、こうおどけてみせた。ともすれば他国の元首には厳しい態度で接することもあるトランプ。しかし、日本の首相に対してはいつも親日的な態度で接している。

私は1990年にワシントンでジャーナリストとして独立して以来、ずっと日米会談を見てきているが、米大統領の態度には篤志(とくし)と呼べる共通する思いやりを感じる。トランプは他国の元首には攻撃的な言動を見せもするが、日本の首相にはいつも米国的な優しさを表すのだ。

外交は人間対人間の関わり合いが基礎になる。いくら外野席で専門家があれこれ捲し立てたとしても、日本への接し方には温かさが滲む。これは日本の歴代首相が米大統領には決して逆らわなかったということに尽きるかと思う。それをホワイトハウス側はよくわかっているのだ。

主義主張を前面に出すよりも、良好な二国間関係を重視して柔軟に接していく方が得策であるということを日本人は知っているのだろうと思う。

米・イスラエル VS イラン(5)

米・イスラエルとイランによる戦闘が始まってから2週間以上が経ったが、終息の兆しは見えない。 トランプ大統領(以下トランプ)は、ホルムズ海峡の航行については「石油の供給を受けている国が責任を持つべき」と発言し、各々の国が責任をとるべきとの考えだ。

ただ言うは易し行うは難しで、日本のようなペルシャ湾岸に軍事力を派遣できない国はほぼ何もできない状態で、指をくわえて眺めているしかない。原油の8割前後がホルムズ海峡を通って輸入される日本は、心臓にナイフを突きつけられているようなもので、長期間原油が入ってこなくなると国の存亡にかかわる。

トランプはSNSの投稿で、「ホルムズ海峡封鎖で影響を受ける国は、海峡を開放して安全に船舶を航行させるために米国と協力して軍艦を派遣すべき」と記した。さらに「人為的な制約で影響を受ける中国、フランス、日本、韓国、英国とその他の国がこの地域に艦艇を派遣し、ホルムズ海峡にこれ以上の脅威がおよばないことを望む」と述べた。

トランプは日本が海外に武力を派遣できない制約を抱えていることを熟知しているはずだが、今回に限っては「その縛りを解け。米国だけに血を流させるつもりか」と言っているかのようにも聞こえる。これはトランプからの挑戦状とも受けとれる。

19日にトランプに会う高市氏はどう対応するのだろうか・・・。