北朝鮮問題の落とし所

昨晩、BSの別所哲也氏の番組で40分ほど、トランプ外交について討論した。話の中心は北朝鮮問題だった。

番組がはじまる前、プロデューサーから「この問題の落とし所はどこですか」と訊かれた。誰もがしりたいところである。

トランプは金正恩をけなし、批判し、攻撃し、国連総会の演説では北朝鮮の「完全崩壊」さえ口にした。軍事オプションはいくつもあり、本当に攻撃もあり得るという姿勢を示した。

けれども、金正恩はまったくひるまない。アメリカに従うわけがないのだ。脅しに屈していたのなら、何年も前に朝鮮半島は非核化されていた。

経済的にも軍事的にも大国にかなわない北朝鮮は、核兵器を手にしたことで、アメリカに対抗できる伝家の宝刀を得てほくそ笑んでいる。

誰がなんといっても核を手放さない。私が金正恩でも核兵器は手放さない。

今後アメリカが先制軍事攻撃をしかける可能性はたいへん低いと考えており、金正恩もそれを十分に理解している。戦争の惨劇が悲惨すぎる。

落としどころは「パキスタンモデル」である。1998年にパキスタンが6回の核実験に成功して事実上の核保有国になった時、アメリカを含めた多くの国は核放棄を願った。

だが今は既成事実として核保有を認めるようになってしまった。その上で、テロ組織やテロ国家に売却させず、使用させずという抑止をかけて、過去20年近くも事実上の封じ込めをしている。

たぶん北朝鮮も同じようなことになるのが「もっともあり得る落とし所」だろうと考えている。(敬称略)